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新鮮野菜のランチが100円? 「おとな食堂」の狙いは - 朝日新聞

 耕作放棄地を使って、野宿労働者らに農業に取り組んでもらう試みが大阪で続けられている。その農園の名は「未来農園」。

 雇用に頼らず、自らの力で生活ができる農業で貧困問題の解決を、と始めた試みだが、農作業の地道さになかなか定着せず。そこで、農業の楽しさを知ってもらおうと始めたのが「おとな食堂」。その狙いは……。

拡大する写真・図版タマネギの苗の株間に、保温や保湿、草を抑えるためのワラを敷く、左から植村勉さん、鹿島則武さん、惣田修次さん=2020年2月8日、大阪府柏原市の未来農園、小川智撮影

 「タマネギの苗って、小さな長ネギみたいな形してるんか」

 この日、初めてタマネギの苗を見たという植村勉さん(72)は、笑顔を見せながら農作業で発見した驚きをそう口にした。

 2月上旬、大阪府柏原市にあるタマネギ畑には、保温と保湿のためにワラを敷く3人の日雇い労働者の男性と、農法を指導する大阪市立大特任講師・綱島洋之さん(44)らの姿があった。

拡大する写真・図版棚田だった休耕田を再利用し、年間40種類の野菜を育てている未来農園=2020年2月8日、大阪府柏原市の未来農園、小川智撮影

 未来農園は農業による貧困問題の解決を研究する綱島さんが、8年半前に地主から借り受けて始めた農園で、長年放棄されていた約30アールの棚田を再生し活用している。同農園では月1、2回の農作業で、長ネギやニンジン、ジャガイモなど年間約40種の野菜を育てている。

拡大する写真・図版談笑しながらエンドウマメの苗の上につるの誘引と風よけ用のワラを張る=2020年2月8日、大阪府柏原市の未来農園、小川智撮影

 不安定な日雇い仕事をしながらでも日々の食材を自ら育てることができ、土に触れながら自然の中で体を動かすことで、一般的な就労支援とは違う解放感や喜びが得られる。そう考えた綱島さん。指示を受けて働くだけではなく、作物を観察し自分で考えながら育てることで自主性が生かされるなど、農業には様々な利点があるという。

拡大する写真・図版未来農園での昼食時にみんなで食べようと収穫したネギを焼く鹿島さん(左)=2020年2月8日、大阪府柏原市の未来農園、小川智撮影

 もちろん、作物が売れれば収入源にもなる。当初は野菜の売り上げを野宿労働者らの賃金に充てようと考え、軌道に乗るまでの不足分は自らの研究費から支払っていた。

拡大する写真・図版収穫した野菜。少しだけ自宅用にミズナを持ち帰る植村さん(右)=2020年2月8日、大阪府柏原市、小川智撮影

 だが、活動を始め参加者に聞き取りをするにつれ、課題を感じるようになった。農作業を通じて、育っていく作物に喜びを感じるよりも、いくら稼ぐかにどうしても関心が行ってしまい、彼らにとって農作業は働く喜びと縁のない単なる賃金労働になっていた。

拡大する写真・図版未来農園で収穫された野菜。タケノコハクサイ、ミズナ、石倉ネギ、赤カブ、ニンジンなど=2020年2月8日、大阪府柏原市、小川智撮影

 どうすれば農作業に喜びを感じてもらえるのか――。

 綱島さんは、収穫した野菜を自…

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March 05, 2020 at 01:00PM
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